7 蓮沼執太さんの10年メモ




2013年4月に渋谷WWWで開催されたライブ「蓮沼執太フィルのレコ発」も大盛況、
7月に『Music Today on Fluxus 蓮沼執太 vs 塩見允枝子』展も控え、大活躍の蓮沼執太さん。
2年目を迎えた10年メモ、どのようにお使いになっていますか?

蓮沼執太さんの使い方

こんにちは、2年目の10年メモです。僕は毎日出会った人の名前を書いています。
前回の「もこもこスリッパ」さんと一見、形は似ていますが、これは自分自身で書いています。

自分で人の名前をメモする事の大きな理由は2つ
1:毎日、人と出会う事が多いのですが、どうにもこうにもお名前を覚えられない。
2:その時期と名前が記載されているだけで、そのときの自分が何をしたかを考えて思い出せる。

例えば、
4/12だったら、イラストレーターのNoritakeさんと会って、
翌年は一緒に蓮沼執太フィルを制作している清宮さんに会ってた。
4/17だったら、ミュージック・トゥデイ・ラフォーレというイヴェントを
小沢康夫さんと制作していて、翌年はラッパーの環ROYと会っていた。

時間の蓄積や純粋なメモとしての記述だけが残るのではなくて、
未来の自分が「10年メモ」を読んで
「過去を想像する」みたいなことが出来たら素敵だな、と思ったりします。

さて、5月から半月、ナイロビに滞在制作に行ってくるので、
ケニア人の名前が記載されるのでしょうか。

近況
5月よりナイロビにレジデンスに行ってきます。
ナイロビ在住のアーティスト・西尾美也さん、
無人島プロダクションの田口行弘さんとご一緒します。



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蓮沼執太(はすぬま・しゅうた)
1983年東京都生まれ。蓮沼執太フィルを組織して国内外でのコンサート公演や音楽アルバムのリリースなどを行う。
主な個展に『have a go at flying from music part 3』(2011年 ブルームバーグ・パヴィリオン|東京都現代美術館)、『音的|soundlike』(2013年 アサヒ・アートスクエア)。7月7日(日)国立国際美術館にて『Music Today on Fluxus 蓮沼執太 vs 塩見允枝子』を開催予定。
www.shutahasunuma.com

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6 もこもこスリッパさんの10年メモ

出会った人に、名前を書いてもらうという、
もこもこスリッパさんの10年メモを
ご紹介させていただきます。

手で書かれた文字には、書いたひとの
その時の気持ちがいつまでも残り、そして、
いつでも会うことができるのですね。

もこもこスリッパさんの使い方

声に出して読みたいあなたの名前
その日、出会った人にサインを書いてもらう「自分ゲストブック」として使っています。
結婚や入学、引越しなど、その人の転機となりそうな時に書いてもらうことも。
他人に書いてもらうには「手軽」で「すばやく」「確実」に書けるものがいいと思い、
“名前”を書いてもらうことにした。

記された名前を見ると、なるほど、筆跡に
その時の表情や心境がよくあらわれることに気づかされます。
この自分以外が書いているという、他人の存在感がおもしろい。好きです。
そして10年後の同じ日に、再びサインをもらいに会いに行こう。
そんなことを考えていると、だんだんこの本に自分の「庭」のようなイメージが浮かんでくる。

「10年後、またこの「庭」で、あなたとあの時のあなたとわたしで集いましょう。」
なんだか、ひさしく会ってない友人に会いたくなった。

先日、今年91才になる祖母に会いに行きサインしてもらった。
祖母は手が震えることを気にしていたが、そんなことは何の問題でもなかった。
祖母はサインの横に「いつまでも元気で」と一言書き添え、
その瞬間「10年メモ」は私の宝物になった。

メモ
『10年メモ』の下に『nu』1~3号を敷くとすごく書きやすい。(特に4~6月の期間)
[左が「もこもこ」、右が「スリッパ」]








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もこもこスリッパ
“空っぽのサンプラー”です。いろいろ詰め込んでいきます。赤身レコーズに作品がいくつか。

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5 イワフチメグミさんの10年メモ

本を手にとって読んだり、ノートに何かを書いたりするとき、そこではいったい何が行われているのでしょう?
リトルプレス「乙女通信」を発行している、グラフィック・デザイナーのイワフチメグミさんの、
10年メモの使い方を教えていただき、ふと、そんなことを思いました。

イワフチさんの使い方

手紙を書いたりもらったりするのが好きなので、来年の自分へ向けて質問を書いてます。その日の印象から、今日見た月の大きさは?とか、今日読んだマンガは何?とか。細かい出来事を書くと後々読み返したときにつらい思いをしそうなので、あっさりと。その一日を思い出しても思い出さなくても良い感じで。書けない日は無理して書きません。

10年後、紙に何か書くって行為はどのくらい孤独で神聖なものになってるのでしょう?
堅牢な記録の手段としての10年メモ、最初のページには「本と向き合うことで孤独になれる」っていう言葉を記しました。

来年、質問に答えていくのが楽しみです。

イワフチさんの近況

ものづくりと人とのコミュニケーションを大切にしたい一年。

イワフチメグミ
リトルプレス『乙女通信』発行。著書に手づくりする手紙のアイデアをまとめた『かわいい手紙』(アスペクト)。http://lucylu.exblog.jp/

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4 小林エリカさんの10年メモ

10年メモは、個人での使用はもちろん、
交換日記のような他者とのコミュニケーションや、
お店や部活動、コミュニティのような、時間を重ねて継続してゆく
場所や集団での使用も考えられますが、
作家でマンガ家の小林エリカさんの想像力は、
もっとべつのところにありました。

エリカさんの使い方

毎日、食べた食べ物をメモしています。
ギョウザとおにぎり、ほうれん草とチーズのカレー、駅前のパン屋で買ったりんごパン、
お友達にいただいたキャベツのスープ、ベーコンとかぶの炒め物コショウ味…
食べ物って思い出すだけでどうしてこんなにたくさんのことを同時に思い出すことができるんでしょう。
こんな風なのは食いしん坊な私だけでしょうか。

1年ごとにこのメモ帳をバトンタッチして、10年間、10人の食べ物を記すということを空想中。
そして、10年後にはその10人がひとところに集まって、
そのメモの中に書かれた食事をみんなで食べるのが締めくくりです。

さてさて実のところ日記を長く続けたことがないのでちょっぴりどきどきしています。
できるかな?
10年後、2022年4月1日金曜日、夜、
食事会は開かれるのか?!

エリカさんの近況

2012年5月16日にphewとの“Project UNDARK”としてCD『Radium Girls 2011』をリリース予定。
http://projectundark.com/

小林エリカ(こばやし・えりか)
1978年東京生まれ。2007-08年アジアン・カルチュラル・カウンシルの招聘でアメリカ、ニューヨークに滞在。現在、東京在住。2010年春よりkvinaメンバーと共に英語・日本語・エスペラント語三ヶ国語のセルフ・パブリッシング・シリーズLIBRO de KVINAをたちあげる。著書は小説に『空爆の日に会いましょう』、詩をモチーフにしたコミック『終わりとはじまり』(共にマガジンハウス)、 などがある。最新刊はアンネ・フランクと実父の日記をモチーフにした『親愛なるキティーたちへ』(リトルモア)。http://www.homesickless.org/flowertv/

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3 山田亮太さんの10年メモ

詩人であり、ユニークかつ批評的なアプローチによって
詩とことばを実践的に問う「TOLTA」のメンバーでもある
山田亮太さんに、10年メモの使い方をご提案いただきました。

山田さんの使い方

『10年メモ』は、一目見た瞬間にそのたたずまいが気に入って購入を決めました。
何をどう書くか決めずに行き当たりばったりで書いているため、使い方といっても、
いまだ記述のスタイルが一貫していません。
ですがそれだとつまらないので、これからの10年に『10年メモ』を
どう使っていくか計画を立ててみました。

「10年メモ10年計画」

1年目 夜に書く。その日一日を振り返って大事な出来事について書き留める。
2年目 朝に書く。その日一日に何をしたいか予定を書き出す。
3年目 しなかったことを書く。するべきなのにできなかったことを書き残す。
4年目 他人について書く。自分以外の誰かのことを記しておく。
5年目 他人に書かせる。10年メモに書くべき文面を募集する
6年目 書かない。この1年間は10年メモを使わない1年として空欄にする。
7年目 一日で書く。4月1日に1年間の予定をまとめて記入する。
8年目 書き続ける。10年メモに書き込むためだけに日々の時間を費やす。
9年目 感想を書く。毎日10年メモを読み返してその感想を書く。
10年目 10年前について書く。10年メモをまだ使っていなかった10年前のその日を思い出して書く。
(各年でどのようなスタイルが採用されているのかがわかないように書くこと。
すべての年が同じコンセプトのもと書かれているように見えることが望ましい。)

以上。「10年メモ10年計画」でした。
すでに計画倒れになりそうな気配もありますが、
そもそもこの計画について忘れてしまいそうなので、
右ページのフリースペースにメモしておこうと思います。

山田さんの近況

『最後のトルタ』というプロジェクトを始動します。
TOLTAではこれまでに、100メートルの切り売りできる本(『ワンハンドレッドメートルトルタ』)、
詩の朗読を探し歩く本(『トルタオーディオブック』)、
絵のないマンガ雑誌(『トルタのマンガ』)などを制作してきましたが、
『最後のトルタ』はその集大成とも言える企画です。
http://saigotolta.tumblr.com/

また、4月よりスタートした詩の投稿サイト「しいか」で選者を担当しています。
投稿して高得点をとると、6月10日の「こえサイファー」で声優さんに朗読してもらえます。
ご応募&イベントへのご来場をお待ちしております。
http://しいか.com/

山田亮太(やまだ・りょうた)
1982年生。詩人。ヴァーバル・アート・ユニット「TOLTA」メンバー。
著書に『ジャイアントフィールド』(思潮社)
http://tolta.web.fc2.com/

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