12 疋田千里さんの10年メモ


2020年版「10年メモ」の撮影をお願いした
フォトグラファーの疋田千里さんに
お使いいただいている10年メモのことと、
参加された台湾のマーケットイベントについて伺いました。

疋田千里さんの10年メモ

2015年から使いはじめたわたしの10年メモは、夫との交換日記です。
日々、何をしていたか、どんなことを感じたかを綴って、
そんなことがあったのねーと、お互いふむふむ楽しんでいます。
時には喧嘩中に、腹の立ったことを書き殴ることもありますが、
1年後にはそれも笑い話です。


台湾での10年メモ

今年はうれしいお声がけ、10年メモのイメージ撮影の依頼をいただきました。
ちょうどその後に台湾で開催されるマーケットイベントに
写真集販売で参加する予定があったので、
お預かりしていた10年メモ5冊を台湾に持って行きました。
台湾の人たちもきっと、興味を持たれるような気がして。


わたしの写真集と一緒に並べた10年メモ、手に取ってくれた方の反応はそれぞれ。

分厚いね!と、10年という期間の長さや重みを感じる人。
5年日記を付けているけど10年は台湾にはないわね、とおっしゃる方。
お店に置きたい!と言ってくれた文房具店のオーナー。

その日あったことを書いてみるね!と言ってくれた焼き菓子屋の男の子は友人なので、
何年後かにぜひ使い心地を聞きたいなぁと思っています。


一番印象深かったのは、最初に購入してくれた方のこと。
日本語が話せるとってもお元気な80代の男性で、
神戸に住んでいたこともあるんだよと懐かしそうにお話くださいました。

2020年の新色を気に入って、買ってくださいました!

近況

写真集「ohashi_to」
Instagram(ohashi_to)

明日には忘れる
https://aswas.life/
(10年メモのコンセプトにぴったりな活動しています。笑)

取扱店



疋田千里

フリーランスのphotographer
クライアントワークでは人物や料理の撮影を、ライフワークとしては旅と日常の間にある様々なモノを撮ります。
www.hikitachisato.com

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11 amycco.さんの10年メモ

文鳥とパートナーのあきぴょんさんとの
日常をつぶやくツイッター(@_shiemi)が人気の
イラストレーターamycco.さん。

去年より10年メモをお使いとのことですが、
使ってみていかがですか?

amycco.さんの使い方

去年、お花見の帰りに寄った
京都のガケ書房で10年メモを見かけ、
とても気になって衝動買いしました。

1日1行でも書けばいいという
ハードルの低さのおかげで
気付けば1年近く続いています。

いろんなできごとをぎっしり書く日もあれば
「あまり何もできなかった」ばかり
書いている時期もあります。

だいたいは飼っている文鳥のことや
その日した仕事の内容、食べたものなどを
書いていることが多いです。

1年近く前のメモを見返すと、すでに忘れてしまっている
たわいもないやりとりやできごとがたくさんで、
何でもないような日常にこんなにたくさんの
小さいけれど特別なエピソードがあふれているのだな、
とあらためて気付き、そんな日々が詰まったこのメモが
ちょっとかわいく思えてきます。

10年メモの巻末の無地のページには、
この10年でできたらいいなーと思うことを書いています。

のんびりしていて人生の歩みがとても遅い私なのですが、
今見返したら4つものことがすでに実現していました。

SNS全盛で、つい人の歩みと比べてしまいがちな時代ですが
(それでもインターネットは大好きです。笑)、
10年メモの中には常に自分しかいません。

数ヶ月前の自分と、今の自分とだけ向き合える
静かな時間は心地いいものです。

日記としてはブログもときどき書いているのですが、
閉じた世界と開いた世界、両方があることで
バランスが取れていいなと思っています。

10年という長い年月の同じ日が1ページに詰まっていって
ひと目で見渡せるようになるのもロマンチックで
今からワクワクしています。

近況

2015年5月13日~31日まで開催される
『トリホリ3 ~インコと鳥の雑貨市~』のオープニングイベントとして
5月10日(日)にグランフロント大阪のうめきたSHIPホールで
オリジナルの文鳥グッズを販売します。
大阪駅下車すぐの会場です。よかったら遊びに来てください!
http://www.art-cocktail.net/toriholic.html

ご注文
取扱店

amycco.(エミコ)
イラストレーター。
雑貨や広告、雑誌などでイラストを描いています。
毎日文鳥に怒られている。
http://amycco.com/

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10 小古道具店 四歩 宮崎匠さんの10年メモ

「小古道具店 四歩 sippo cafe」

三鷹にある、カフェ併設の
古道具や日用雑貨を取り扱う雑貨店です。

初年度より「10年メモ」を取り扱っていただいています。



四歩ブログ



「暮しの手帖」花森安治グッズも充実

店主の宮崎さんは、奥様と一緒に、育児日記として
「10年メモ」をお使いいただいているとのこと。

使ってみていかがでしょう?

宮崎匠さんの使い方

去年、「10年メモ」が入荷したころに、妻が出産を控えていまして、
育児日記にちょうどよいと思い、はじめてみました。

娘が生まれてからほぼ毎日、成長を書きとめています。
今のところ「はじめて~した、できた」といった記述が多いです。
とくに何もなかった日は、何も書かないこともあります。

平日は妻、休みの日は自分、というように、
分担しながら、夫婦ふたりで書くようにしています。

仕事終わりが遅く、なかなか
娘との時間がもてないのですが、
帰宅してから、妻の書いた「10年メモ」を読むと
その日の娘の出来事を知ることができるので、
それが毎日のささやかな楽しみになっています(笑)。

その場に立ち会えなかった出来事を、
あとで共有できるのはうれしいですね。
一緒にいられる時間が少ないので、
なおさらそう思います。

もうすぐ2年目に突入するので、
1年前の娘の成長を感じながら書くのが
今から楽しみです。

書きながら、数年先の今日は、娘はどんなふうに育っていて
どんなことが書かれるのだろう、と、想像するのもいいものです。

じつは、書き終わった「10年メモ」を、
いつか娘にわたすつもりで書いています。

なんだか、未来の娘へ向けた、
長い手紙を書いているみたいですね(笑)。

ご注文
取扱店

宮崎匠(みやざき・たくみ)
1981年東京生まれ。
インテリアショップ「デイリーズ」での勤務を経て、
現在は姉妹店「小古道具店 四歩」店長。
主に古物、雑貨、家具の修理を担当。
http://www.sippo-4.com

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9 アマヤフミヨさんの10年メモ




Amleteron(アムレテロン)。

エスペラント語で「ラブレター」を意味するという、
不思議な響きの名前のお店が高円寺にあります。

取り扱っているのは、読書と手紙にまつわる、
レターセットやポストカード、アクセサリーなど。
知り合いに作ってもらったという壁一面の本棚には
古本や新刊本も並んでいてバラエティ豊かです。
「なnD」も取り扱ってもらっています)

本もラブレターのようなものかもしれません。

店主のアマヤさんは、2012年版の10年メモを
使っていただいていて、今年でもうすぐ3年目を迎えます。

どのように使っていますか?


アマヤフミヨさんの使い方

中、高校生の時、生徒手帳に毎日1行日記をつけていました。
前年の同じ日に何をやっていたかを見るのが楽しくて、
昨年の同じ日にわたしたちナニナニしてたらしいよ。なんて話すと、
ぶんちゃんの記憶力がすごい。と言われたものです。
それは記憶力ではなくて、実は記録力でした。

「10年メモ」をさぁ、はじめよう。と思ったとき、
さてどうしようと少しだけ迷いはしたものの、
その生徒手帳の時と同じようなスタンスで、
日々の由無しごとをダラダラと綴っています。
そんなわけでかなり雑多です。そして、だいたいが殴り書き(笑)。
とうてい人様に見せられるようではありません。

前年に何があったのか、何を書いているのか判読するのに
自分でもよくわからず少し時間がかかることも(!)。
それもまぁ、おい? 昨年の今日のわたしいったいどうした!?と、
おもしろみに転じています。

「ぼんやりしていた日」とだけ書かれている日もあれば、
「誰々とのメールで涙」と記してあって、
いったい何があったのかとその相手に聞いてみると
「わたしの10年メモには“何を食べておいしかった。”
としか書かれていない」と言われ、謎に包まれる日があったり。
もう忘れてしまっている過去の自分に再会して、
励まされたり励ましたくなったりすることも。

近況
Amleteronで、通常営業のほかにワークショップや
小さなライブイベント、展覧会など随時企画・開催しています。
2013年12月、Bela Muziko!からウルトラミラクルハイパーマルチプレイヤー
Honoka Sakaiの『on the way home』をリリース。
全国の量販店をはじめ、Amleteronでも発売中です。
時々作っているフリーペーパー「Kontrapunkt」を3月に発行して、現在配布中!


10年メモ 取扱店

アマヤフミヨ
高円寺のお店Amleteronのオーナー。
音楽レーベルBela Muziko!代表。時々テルミン。
◎Amleteron http://amleteron.blogspot.jp/
◎Bela Muziko! http://belamuziko.blogspot.jp/

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8 FALL 三品輝起さんの10年メモ





先日、知人の編集者2人と「なnD」という冊子をつくった。

そのなかで、吉祥寺「Roundabout」の小林和人さんと、西荻窪「FALL」の三品輝起さんに対談をしていただいた。おふたりとも雑誌等で文章を書かれているが、そのこととお店をやっていくことに通じるものはあるのかどうか、といった話など。

「FALL」は不思議なお店だ。

週替りで作家ものの器やアクセサリーなどを展示しつつ、輸入雑貨や文房具、CDなどを取り扱っている。そういうお店は他にもあるだろうが、「FALL」は何ともとらえどころのない独自の佇まいをしている。それは店主のパーソナリティによるものなのだろう。

その一端に触れるべく、三品さんの10年メモの一部を公開していただいた。(nu)




三品輝起さんの使い方

字が病的に汚い。自分で読み返せないことなんてざらだ。なのにメモ魔なふしがあって、増えつづける過去の痕跡にどんどん離人感がつのっていく。こんな、みなさまのようなオシャレでスマートな使い方からほど遠い、エントロピー増大手帳を公開していいのかしら……。

左のページ


10年メモは1年目はガマンで、2年目から楽しさがでてくると思う。よって(真矢みき氏の言葉をかりるなら)「あきらめないで」書きつづけてほしい。例えば2013年4月3日。「暴風雨」とある。去年はこんなことなかったのにねぇ温暖化ってやーね、なんて言ってたら、2012年の同日にも「(台風のような)暴風の低気圧」と記されている……。だからなんだってことはないんですが、ある種の世界の傾向のようなものが見えてくるかもしれない。毎年風邪をひきやすい季節、女性にときめきやすい月、無性に青汁を飲みたくなる各種条件、口内炎の周期までわかるようになったら……どうってことないか。あと最近はジョギングしてるので、今日は何キロ走った、みたいな記録もつけてる。



右のページ



(あらためて)おれの字、死んでますねー。右側の白紙スペースにはその日に読んだ本、見た映画、聴いた音楽なんかを書いてみたり。なんか10代の書生さんみたいだな。このように固有名詞をいちいち書きとめて悦に浸ってるような世代は、ダウンロード世代や断捨離世代にはついていけない惨敗兵だ。いずれ彼らに断捨離されるだろう。だけど日記というのはそもそも、望もうが望むまいがモノを所有することへの飢餓感があったころの産物なのだ。時間をとどめて、失わないように楔を打ちつける。という自己満足。いまはすべてが自動でログされてモノが溢れくさってますので、逆にこの手書きの手帳で飢餓感を擬似的につくることができれば、目の前のモノの価値が上がる(なけなしのお小遣いで小説を買ってた中学生のころの状態をつくりだせる)……。わけはない。しかし、自覚はないかもしれないけど、情報を塞き止めて流通量を減らすことで、個々の情報の価値を上げようとしている人はたくさんいるのだ。売りオペレーション。


その他のページ




もはやなんで書いたのかよくわからないが、衆参の選挙制度と定員(一票の格差)の図。敬愛する北杜夫氏のエッセイの抜き書き。『色彩を持たない田崎真也(ソムリエ)と、彼の巡礼の旅』という走り書き。あと年金制度の図。人はなぜ夢を見るのかという最新学説のメモもある(睡眠を守るため、らしいです)……。



はい。といった具合にゴミ溜めみたいな手帳になっている。こちらにご登壇されてる方々のようなコンセプチュアルなものも、アフォリズムもポエジーもない。どうでもいいことを後生大事に書き残しているだけだ。つづけてきた小さな店だって、きっと同じなんだろう。



近況
『nu』編集者もたずさわった雑誌『なnD』に「小林和人(Roundabout, OUTBOUND)× 三品輝起(FALL)」という対談企画で参加してます。今年の「超文学フリマ」のために、企画から入稿まで1週間で仕上げたそうです。



10年メモ 取扱店

三品輝起(みしな・てるおき)
79年京都生まれ、愛媛出身。東京在住。音楽活動としては10年『LONG DAY』(Loule)、12年『OFF SEASON』(RONDADE)をリリース。同年、美術家・武田晋一とともに「OUTBOUND」にて展示「OFF SEASON」を発表。13年3月「iTohen」に巡回。普段は05年より東京・西荻窪にて器と雑貨の店「FALL」を経営。経済誌、その他でライターなどもしている。
fall-gallery.com

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